生ハムの王と言われる『クラテッロ ディ ジベッロ』

(入荷待ち)

クラテッロの巨匠マッシモスピガーリ氏の造る最高のクラテッロ ディ ジベッロ

熟成庫には到着を待つ一流レストランや著名人(チャールズ皇太子)などの予約の札でいっぱいだそうです。

 

当店では北イタリアのピエモンテ州のオチェッリバターと共に召し上がっていただきます

こちらのオチェッリバターも評価が非常に高くヨーロッパの品評会で1位になったこともあります。

 

もちろんオーダーをいただいてからスライスいたしますので、切りたての風味と余韻、クリーミーなバターとの相性をお楽しみください。

 

●伝統を大切にするクラテッロ

パルマの伝統を厳格に引き継ぐクラテッロについてご紹介します。クラテッロと言っても、まだ日本ではご存じない方もいらっしゃるかもしれません。クラテッロは、豚のお尻の部分の肉を膀胱の皮に入れて熟成するパルマの伝統的生ハムの一つです。

 

●8つの村に生産地域は限定

「クラテッロ・ディ・ジベッロ Culatello di Zibello」は、パルミジャーノ・レッジャーノ、プロシュット・ディ・パルマ同様ヨーロッパEUから伝統を守り生産される商品を保証するDOP(生産地保護保証)に指定されている商品です。ですから生産地、原料となる豚、豚の餌、生産方法など、細かい規則があり、最終的に検査を受けて、初めてクラテッロ・ディ・ジベッロと名乗る事が出来ます。 

伝統を守って、昔の冷蔵庫が無かった頃の生産時期10月から2月に生産した物のみが、「クラテッロ・ディ・ジベッロDOP」となります。それ以外の時期に生産されたものは、「クラテッロ」として市場に出ます。

クラテッロ・ディ・ジベッロは、イタリア語で、「ジベッロのクラテッロ」。だからジベッロで作られた物だけがクラテッロ・ディ・ジベッロなのかと勘違いされることが多いのですが、ジベッロ村で登録されたので、この名前が付いたとの事。実際には、8つの村で生産する事が出来ます。1.コロルノColorno、2.ジベッロZibello、3.ロッカビアンカRoccabianca、4.ソラーニャSoragna、5.サン・セコンドSan Secondo、6.ブッセートBusseto、7.ポレジネ・パルメンセPolesine Parmense、8.シッサSissa。 これら8つの町の特徴は、ポー川沿いの低地、夏は暑くて、冬は寒さが骨に沁みるパルマの中で最も湿気の多い地域です。

 

●湿地帯ゆえに考案された熟成方法

パルマの他の地域同様、この地域でも一般家庭で、普通に豚が飼われていました。毎年冬になると豚を1頭殺して、1年分のハム、サラミ類を作るのが恒例でした。「豚は爪以外に捨てるところが無い」と言われますが、昔貧しかった頃は血液ですら、スープに入れて食べていたようです。

この地方は、湿地帯なので、乾燥した風を必要とするパルマハムのようなプロシュットが出来ませんでした。そこで、考えたのが、豚の後ろ足の腿肉の中で、一番価値の高いお尻の部分だけを使い、サラミのように皮で包んで熟成させるという方法が考え出されました。サラミは腸の皮ですが、クラテッロの形に合わせて膀胱の皮に詰めます。

 

●クラテッロ生産者マッシモさんの思い出

飲食店を持つ農家で屠畜職人が父という家庭に生まれたクラテッロ生産者の一人、マッシモ・スピガローリさんが幼い頃の思い出を「クラテッロ読本」にこのように書かれています。

「昔は、今の様に家族がそれぞれの部屋を持つと言う事は無かった。田舎の小さな家では南側の台所(薪で調理していた頃)の上にある部屋が、一番乾燥した部屋だった。冬、クラテッロを作るとこの部屋でクラテッロは乾燥された。その部屋では、老人と子供が寝ていた。私は生まれてから3歳まで、サラミとクラテッロと一緒に眠っていた。夜目が覚めるとベットの上にぶら下がっているクラテッロが暗闇の中で人の頭のようで、叫びながら父を呼んだものだ。4月、5月にはクラテッロが乾燥しすぎるのを防ぐために別の部屋に移された。

6月になると真っ暗で、湿気のある部屋、子供は親と一緒にしか入る事が出来ないカンティーナに入れられる。9月のブドウの収穫が終わると、クラテッロの香りを付けるため、カンティーナの床にぶどうを絞った後の皮が敷かれる。11月、霧が出るとカンティーナの窓を開けて、クラテッロに空気を浴びさせる。

春が来ると、父が馬の骨で出来た針をゆっくりゆっくり刺して内部の香りを確かめる。父の顔が笑顔で緩み、目が潤む。2つの大きなブラシで、クラテッロの重要な香りを作るムッファ・ノービレ(高貴なカビ)を取っていた。クラテッロは、水で洗われ、陰に置かれ、一晩ワインに浸けられる。それをまた陰で乾かし、台所の水屋の棚に入れる。クラテッロを切る日は、儀式の様だった。家で一番良く切れるナイフで半分に切ると台所が信じられない香りで一杯になる。薄く切って、口の中に入れて目を瞑る。それは感動の瞬間。